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【配信】『反復かつ連続』オンライン公演動画配信

Update 2022年12月01日

 2020年9月23日[火祝]AM8:30~9:30に、東京・蒲田のアトリエビルHUNCHで行ったオンライン配信公演の動画を公開。実際の朝の光の中、4台のカメラを使いZOOMのウェビナーを介して配信を行った様子を、当時創作に関わったメンバーの一問一答コメントと共に是非ご覧ください。


創作メンバーによる一問一答


作・演出=柴幸男

Q1. 「反復かつ連続」はもともと舞台で上演された作品ですが、配信に向けて台本・演出上で大きく変更したポイントはありますか。
見立てが成立しづらい映像演技の対策として、実際に水を使う、マイムでやっていた小道具を用意する、衣装を脱ぎ着するなどの演出を追加しました。不在の人物が映像上でも浮かび上がるという一点に向けて、その他のすべての演出を映像向けに精査しました。                
 
Q2. 須藤さんがスタッフとして参加されました。須藤さんとのやりとりの中で印象的だったこと、発見したことはありますか。
最も印象的だったのは、完成直前に作品の質を一段上げるにはどうしたらいいかという話し合いの中で、演技や映像に演出を施すのではなく、観客の鑑賞のレベルをいかに上げるか、いかに配信で劇場を立ち上げるか、という方向のアイデアですぐに合意できたことです。テクニカルな面だけではなく、映像とは、画面とは、劇場とは、演劇とは、を実感を持って、また僕とは違う側面から、日頃考えられているのだと感じました。                                    

Q3. 実際の上演を終えて、配信だからこそできた表現があれば教えてください。
演劇という虚構に、現実を混ぜ合わせていく作業は新しい快感でした。電車、天気、水、朝。劇場中継ではない、映画でもない、配信の演劇ならではの虚構と現実のブレンドがまだまだできると、可能性を感じました。また視聴者の環境を劇場に変化させるのも新しい手応えでした。


■ 映像=須藤崇規

Q1. 今回、「反復かつ連続」の配信プロジェクトに参加しようと思われたポイントはどのような点ですか?
様々な演劇作品が配信される中で、配信という仕組み自体にコミットしようしている点にシンパシーを感じました。舞台をそのまま映像化しようとするものが多い中、なぜ配信でなければならないかという点に真摯に向き合っている、初回の打ち合わせでそう思えたので、ぜひ参加したいと思いました。
                                                        
Q2. 須藤さんが感じられた「反復かつ連続」の面白さはどんなところですか?
演劇というメディアは、同じことを繰り返さなければならない、つまり「再現」という特徴を持っていますが、それを「反復」に置き換えて作品自体の中に取り込んでいる点、そして、誰にでもなれるという演劇が持っているマジックをたった一人の俳優と音声を用いることで達成しようとしている点、そこがとても野心的だと感じました。
                                                      
Q3. クリエーションの中で、柴幸男とのやり取りで印象的だったことなどがありましたら教えてください。
どこにゴールを設定しているかということがとても明確でした。今回のクリエイションメンバーはとても少人数でしたが、各々がゴールに向かって別々のスキルを発揮しているという感覚が強くありました。見ているものも聞いている音も別々、やることも別々、でも目指しているところは一緒。分業を前提とする以上、これは当たり前のはずでしたが、実はなかなか達成が難しいことなんだなと、居心地のいい現場の中で考えていました。


■ 衣裳=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)

Q1. 今回の「反復かつ連続」では、役が変わるごとに身に付けていた衣装を脱いでいきました。どのようなことを意識して6人の衣装を考えられましたか。
作品の中では一人づつ存在が認識されるごとに物語が浮かび上がってくることに対して、演者が衣装を脱いで(減らして)いくことで年齢を重ねていくという試みが逆説的になっていて面白いのではないと思い今回の衣装プランを考えました。

Q2. 瀧澤さんが感じられた「反復かつ連続」の面白さはどんなところですか?
これはきっと、誰もがきっとどこかで経験したことのある風景で、
その一瞬が過ぎていっても、どこかで永遠に繰り返しているのではないか
自分自身の家族とのワンシーンを見ていても、そういう瞬間の繰り返しなんだということに改めて気づかされました。短編作品でこそ表現できる永遠。

Q3. クリエーションの中で、柴幸男とのやり取りで印象的だったことなどがありましたら教えてください。
柴さんとのクリエイションではいつも僕からの衣装プランを柔軟に受け止めてくれている印象です。
演出として必要な要素以外は、ある程度任せてくれていて
特に最近の作品では他者が混じり合うことでひとつの作品世界を形作るということを、柴さん自身が楽しんでいるのではないかなぁと勝手に思っています。


■出演=小山薫子(ままごと)

Q1. 配信版「反復かつ連続」ではカメラが4台設置され、電車や通行人の往来を取り込みながら無観客で上演されました。演じる上で、カメラや外の空間は意識しましたか。また無観客上演についてはどんなことを感じましたか。
切り取られたカメラの視点と、実空間の視点を行き来しながら物語の体を試していました。外部の光や音に大きく影響を受け、最後のシーンは特に外の空間を聴くことで時間を作っていくようでした。無観客状態の中、朝の物語を朝に演じる体感やその時に見ていた方々との質疑応答で、出会い方の重要性を振り返りました。

Q2. 須藤さんがスタッフとして参加されました。須藤さんとのやりとりの中で印象的だったこと、発見したことはありますか。
演劇の配信が増えている中で、映画史で排除されてきた技法や、演劇で排除されてきた技法を見つめ直せる時だと考えている、と仰っていたのが印象的です。蒲田、ハンチ、zoom、家族の風景、この映像を見ている所、様々な場所が重なるものを、別々の視点から試行してみる事を須藤さんとの創作で考えられたと思います。

Q3. 作品の中には6人の女性が登場します。小山さんが演じる上で難しかった登場人物、あるいは楽しみながら演じた人物はいましたか。どのような演じ分けを意識したか、教えてください。
観察した人やものを体や声に起こしながら、役一人一人の重心や態度を探りました。女5(母)が難しかったですが、探り動いている時に川が流れ出すイメージが湧き、女5の一つの身体感覚としてストックしました。実際の母に幼少期から今に至るまでの話を聞き様々な立場を経ての1人の像を見て、自分が演じた4人の人物と呼応する女5を演じるのが楽しみでした。


ステージナタリー記事
『4台のカメラが捉える6人の朝の風景、ままごと「反復かつ連続」がオンライン配信』(2020年9月20日 21:58)